私が中学生の時に体験したお話です。
私はその日学校から帰って、2階の自分の部屋で宿題をしていました。「カチャンッ……」突然隣にある姉の部屋から、ガラスを割るような音がしてびっくりして姉の部屋を覗きに行きました。姉はその時間仕事に行っているので居るはずないし…何かが落ちて割れたのだろうか……、割れたのなら私のせいにされるかも……と少々びくびくしながら部屋の襖を開けました。
すると姉の部屋の奥の壁の前に、黒い服を着た背の高い男が立っていました。髪はソバージュで顔はほっそりとしていました。とてもはっきり見えたので、私は最初本当の人間が立っているのだと思ったぐらいでした。
「あのぉ……誰ですか?」風貌からして泥棒っぽくも無かったし、その時何故か恐怖心も無かったので私は当たり前の様にその男に呼びかけました。しかし、その男は私を見ると不思議そうに首をかしげるだけ。何も言ってこないのです。さすがにあやしいと思い、私はもう一度話しかけました。「姉は今いませんよ」何故か口から出た言葉を私が発すると、その男の姿は白い靄のようになって消えてしまいました。
その時初めて、この世の物では無いと悟った私はびっくりして姉の部屋から出たのです。この話を姉に言うべきかどうか迷ったのですが、姉は怖がるしきっとものすごく怒ると思ったのでしばらく黙っていました。
何日かしてまた同じような体験をしました。やはり男は部屋の隅に立っていて、私を見ると首をかしげるばかり。私はその時この男から邪悪なモノを感じなかったので、多分この人は姉に関係する生霊なのではないか……と判断したのです。私はこれは姉に何か関係があるのではないかと思い、思いきって姉に打ち明ける事にしました。
私「ねぇ…お姉ちゃん…あのさー……いつも黒い服を着てて、細くて髪の毛がソバージュの男の人知ってる?」
姉「え?なんで?」
私「うーーーんとね……そのぉ……」
姉「なに?」
私「いたんだよ……お姉ちゃんの部屋に……」
姉「え!?○○○が家に来たの!?」
私「いや……来たっていうか……居たっていうか……」
姉「はっきり言ってよ!!」
私「生霊かな……部屋の隅に立っているよ」
姉「………………」
私の言葉を聞いて見る見るうちに姉の顔は強張っていきます。
私「お姉ちゃん……二股かけてるでしょ」私は何故かそうではないかと思い言いました。
姉はその言葉を聞いた瞬間、
姉「どうしたらいいの!?ねえっ!!」
と私の肩を強く揺さぶったのです。
私「とりあえず、ちゃんと別れた方がいいよ……」
私がそう言うと姉は仕事から帰って来たばかりでしたが、そのままあわてて出かけて行きました。そうして、ちゃんと別れ話をして来たそうです。
後日詳しく姉に聞くと、黒服の男はホストクラブの(笑)店員で、暫く付き合ったがそのうち連絡もせずほっといたらしいのです。(なんて姉だ!!)しかし…生霊となってまで姉の部屋に現れた男は本当に姉を愛していたのですね……。その後から、その黒服の男は現れる事はありませんでした。