これは私が初めて霊にあった時のお話です。当時、私は高校の夏休みで徳島の方に旅行に来ていました。その頃はまだ幽霊などたいして信じていなかったので、友達に誘われた肝試しにも即OKをだし、ふざけ半分で徳島では結構有名らしいトンネルに深夜出かけました。
そこは着くなり鳥肌がたつぐらいの怖さがある場所でした。5人で来たのですが「みんなで一緒にいっても肝試しにならないから、一人ずつトンネルを抜けよう」と私が提案しました。今考えればなんともおそろしい提案です。ほとんど明かりのないトンネルを懐中電灯一つで抜けようというんだから。しかも深夜なので車もほとんど、いや全く通らないのです。
しかし、この提案は「怖すぎるからいやだ!」の4人一致の意見のもと却下されました。(あたりまえだよな〜)でも、ある意味採用されたともいえるのです。なぜなら1・2・2の形で行く事になったからです。もちろん、その1は私でした。私は対した反対もせず、逆に先に行ってみんなをおどかしてやろうと思うぐらいの余裕もありました。そして、いよいよ、私は懐中電灯片手にトンネルに入っていきました。
……………………トンネルの中間まで来た時のことでした。懐中電灯が急に点滅したかと思うと消えてしまったのです。しかし、トンネル内にも多少の光はあったので、そのまま出口に向かいました。しかし、この時の私は電灯が消えた時点でかなりの恐怖がこみあげていました。ただ、早くこのトンネルから出ることだけを考えていたのです。
やっと出口が見えたと思った時でした。私の視界の横に、女のすごい形相が見えたのです。
私は気のせいだと自分にいいきかせて出口に向かいましたが、人間とは不思議なもので、見ないでおこうと思うとよけいに見てしまうもので、何度も横の視界を見てしまうのです。そのたびにその女の形相が近づいているのです。ようするに、私は左を歩いているのですが、右側の道の端から女の人が私に近づいてきているのです。そして、出口をでた、私のすぐ横に女の顔が間近に私をにらんでいるのです。
私はその場でうずくまり、ただ心のなかでお経をとなえていました。友達がトンネルを抜けてくるまで……。その時、私は確かに女の人の声を聞いたのです。
「おまえの……」
ここまでしか聞こえなかったけれど、あの女の人は一体何と言ったのか、いまだに思う時があります。