恐怖体験談

幻のマンション

私が2年程前チラシ配りのバイトで船橋方面に行った時のお話です。

私が担当した区域に古びたマンションがありました。高さは10階ほどあったのですが、エレベータはなく、その代わりといってはなんですが普通の階段とは別に螺旋階段がくっついていました。

4階建て以上の建物にはエレベーターをつけなければいけないはずなのに、おかしいなと思いつつも、このマンションに徒歩で登らねばならないのかと思うとうんざりした気持ちで階段を登り始めました。

マンションなどにチラシを配るとき大体の場合は効率と確実性のために最上階から一筆書きの要領で配り始めます。私もいつも通り最上階まで階段で上がるとポストにチラシを挿し始めました。

1つのフロアに6〜7つは扉があったでしょうか。どの部屋のポストにもチラシがあふれていましたし、人がすんでいる気配はしませんでしたが、ノルマが決まっているのでかまわず配りました。そして、上から2〜3フロア配ったところで不思議な部屋がありました。

その部屋は扉に外側からかなり執拗にガムテープで目張りがされています。他の部屋と違う雰囲気に私は「おや?」と思いました。空き部屋であることは間違いないのでしょうが、ガムテープで目張りをしてあることがあまりに違和感があったからです。

その部屋は特にチラシが多く、他のチラシを奥に押し込んでチラシを挿さねばなりませんでした。ふと、私は横のすりガラスに目をやりました。よく扉の隣にある鉄格子のかかったやつです。

中から人が顔をべったりと張り付かせてこちらをのぞいていました。今でも思い出すと背筋に冷たいものが走ります。どう考えてもそこは無人のはずでしたし、あまりにその姿が恐ろしかったので私は声も出せずにその場を走り出しました。

その時私は螺旋階段の方を使って逃げたのですが、螺旋階段はところどころ段が無く、私が乗るだけでギィィッと音を立てるような代物で、そこに誰かが住んでいたとは到底思えません。どう考えても、あのマンションは廃墟と化していたのです。あれは一体なんだったのでしょうか……。

投稿者:NO BODY 様(2001年 5月 8日掲載)