どうも、以前千種高原での体験談を投稿させていただいたヒロです。僕はもともと生まれつき霊感が強いなんて自分では思ったことがなかったのですが、あの体験をしてからというもの、ちょくちょく不思議な体験をするようになりました。最近あった出来事で一番恐かったのは、半年前に巷で武家屋敷と呼ばれている心霊スポットに友達4人でおもしろ半分に行ったときにおこったことでした。
あれはまだ、寒さが厳しい2月の出来事でした。あの頃は仕事帰りに友人(Y・ハヤブサ)の家に暇つぶしに寄るのが僕の日課でした。Yの家に行っても毎度のように、特にやることなんてなにもないし、ただ暇な二人で世間話をして、いたずらに時間が過ぎていくような毎日でした。
ある日の仕事帰り、僕はいつものようにYの家に暇つぶしに寄りました。するとYは居なく、代わりにYの3歳下の妹(I)とIの友達の(S)が居間でテレビを見ていました。Yはどうやら用事に出かけているらしく、僕はI達と共にYの帰りを待つことにしました。
僕は暇つぶしに心霊スポットの話なんかをI達に聞かせていると、遊び盛りの年頃のI達はすぐに「そこに連れていって!」と乗ってきました。僕もなにぶん忙しいわけでもなく、まあこのままなんにもしないで時間を潰すよりかはよりかはマシか…などと安易に了解したんです。I達と共にYの帰りを待った僕たちはYが帰宅してすぐ、そのことを伝えさっそく車を出し、兵庫県でも有名な稲美町の武家屋敷を目指しました。
人の噂話でしか聞いたことの無い武家屋敷、実際行ったことはなく、気がつけば僕たちは田んぼと池と道しかない稲美町特有の田舎道をぐるぐるさ迷っていました。いつまでたっても目的地につかない…。運転に疲れた僕もさすがにあくびを堪えきれずに連発していた。車内も次第に沈黙になり、全員に気だるさが見え始めていた。腕時計を見ると午前1時をさしていた。僕は明日の仕事のことで頭がいっぱいになり、なんだか心霊スポットに行くような気分じゃなくなってきていました。
はぁ〜ぁ、一体誰なんだよ道もよく分からない場所に行こうなんていいだしたのは…だいたい目印が黄色の点滅信号だって?…んなもんどこにでもあるじゃねえか、いったいどこの信号なんだよ。ああ、おうちに帰りたい…そんなことを思っていた時だっただろうか、ふと行く手に黄色の点滅信号が現れた。僕はすごくうれしい気分になってYに「おい、あの信号って…」と言い出した時にYがいびきをかいて寝ているのを見て激しく苛立ちを覚え、おでこにおもいっきりデコピンをくらわして「おい、なに寝てんだよ!」などと怒鳴っていると、目指していた武家屋敷が前方左手にぬうっと現れたんです。
白塗りの土塀はボロボロに朽ち果てており、その真ん中に入り口の門がありました。それはまさにこの世のものとは思えない物々しい雰囲気に包まれておりました。僕は車を止めHを無理矢理起こし、懐中電灯をもって車を降りました。Iは恐いから車に残ると言うのでSとYと僕の3人で武家屋敷に入ることにしました。
門をくぐってすぐに僕たちは足を止めました。そこは雑草や木々がおい茂りどこに屋敷があるのか皆目検討もつかなかった状態だったからです。僕は手に持った懐中電灯で道らしきものを探そうと辺りを夢中に照らしまわっていました。
ふと、一緒に来たYとSのことが気になりました。そういや静かだな…。僕はYの方に懐中電灯を向けYを照らしました。すると、Yは上の方をじ〜っと見つめてボケ〜としていたんです。逝っちゃってるな…と思った僕はYの見つめている方向を照らしました。しかし、そこには木があるだけでした。
「なにを見ているんだい?」とYに聞きました。するとYは「おい、あそこ見ろよ誰かがこっちを見てる…」僕はまたYが僕をビビらせようとしているのかと思い、「はいはいそれはどこですか〜?」などと半分馬鹿にしながら再びYの見ている方向を照らしました。するとYが突然怒り出し「嘘じゃねえよ!そこじゃないよもっと上だよ!ほら、あの枝の上!」僕は思わぬYの態度に水を差されすこし真剣にYの言う方向を照らしました。
…Yの言う木の枝を照らしても何もありませんでした。やっぱり嘘かい…などと思いよく見ていると、なんだかおかしなことに気づいたんです。最初は自分の懐中電灯の光だと思っていたんですが、ちょうど枝のすぐ上の部分に明らかに一個所だけオレンジ色のモヤモヤがあるんです。それが懐中電灯の光ではないことに気づいた僕は、それをじ〜っと見ていると、それは次第に形を変えていき、ちょうど水から人の顔が出てくるような感じで、モヤモヤは人の顔に変わっていったんです。おかっぱ頭の切れ目の女の子、そんな顔が木の枝の上に現れたんです。
その顔はYの方をじ〜っと見ていました。僕はパニックになって体が硬直してしまいました。なんせ、今まで見たことない科学では説明できないものを目の当たりにしたんですから…。気がつけば僕はわけのわからないことを必死に叫んでいました。「いる!いる!いる!いる!いる!見てる!見てる!見てる!見てる!…」大声でそんなことを叫んでいました。いや、今となって思えば僕は…叫ぶぐらいしかできなかったんだと思う。
僕が大声を出しているとその顔はぬ〜っとこっちを向きました。目が合った瞬間ぼくは蛇ににらまれた蛙のような気分になり「目が…目があった!!」とか大声で叫びました。Yは僕に「早く帰ろう!これ以上ここにいちゃいけないよ!」とかいうと僕とSの腕をひっぱり車のほうに走りました。
車に戻った僕は興奮した牛のように鼻息を荒立てキーをまわしてエンジンをかけると一目散に車をだしました。帰路につき、気分もようやく落ち着いたころ、僕はYに聞きました。「なぁ…屋敷で見たあの顔…おかっぱで切れ目だったよな?」するとYは「うん!切れ目の女の子だろ?」…やっぱ見ていたものは一緒だった。後で聞くとSには見えてなかったらしい。でも、見えないほうが幸せだと僕は思う。
その一件のあと、僕とYは何故か一緒に遊ぶとトラブルが多くなり、そして連絡をとらなくなってしまった。聞く話によると、Yは薬物に手をだしてその後遺症かなんかで入院してしまい、妹のIは家出をしてしまったらしい…。
最近、駅近辺で民家に車が100キロ近い速度でつっこんだという事件がおきた。その運転手の名前を聞いて僕は驚いた、それはほかの誰でもないかつての友人Yだったからだ。なんでも、酒酔いかなんかでへべれけだったとか…そんなことするやつじゃなかったのに…僕は落ちぶれていく彼の話を聞くたびに切ない気持ちでいっぱいになります。