前置きはさておき、体験談です。私が小学校4年生の時にそれまで住んでいた集合住宅を離れ、新しい分譲地に両親にとって念願のマイホームを建てる事になりました。新しい家が建つ所を私が最初に見たのは、家の骨組みが出来上がった状態でまだ壁も出来てない、柱と屋根があるだけの家の姿でした。
初めて見たこれから住む家…。何て気持ち悪いんだろう。ここはダメだ…。長く居たくない。第一印象は散々なものでした。ただここでは気持ちだけで何かを見たとかというものではありません。それだけに、傍でこれから出来上がる我が家を自慢そうに案内してくれている両親には言えるはずもなく、4ヶ月後には入居となりました。
新しい家には今まで無かった自分の部屋があり最初の印象はどこへやら…何もかもが新しい事への満足感、そして新しい友達。全てにおいて順調であると思っていました。しかし、ふと気が付いてしまったのです。
引越しして来てから3ヶ月が経とうとしていました。1階の和室を通り過ぎようとすると臭うんです。生臭い空気がこの部屋に漂っています。最初は何かの拍子に臭っていたものが日を追うごとにだんだんと強くなってきました。最初は私一人が「臭い、くさい」と言ってたものが、家族全員が匂うようになっていき、この頃から怪現象が多発するようになってきました。
新築祝いに父の知人から頂いた、富士山の油絵。山中湖からの風景で手前に新緑の木々・湖には朝もやが薄くたちこめ、湖の向こうに真っ白な雪を頂いた富士山。とても綺麗な絵でした。しかし、絵の中の朝もやは美しさを無くし一部に骸骨(ドクロ)が浮かびあがってきていました。それを見た母は「頂戴したものだけど置いておけない。」と、この絵を焼いてしまいました。
そして、こんどは絵ではなく亡くなった祖父の写真に異変が…。生臭い匂いがいつもにも増してきつく、母と何故だろうと話していました。と言うのも、もしかして床下とかに動物の屍骸があるかもしれないと思い、業者に来てもらい見てもらっても何もなかった。匂いの原因が全くもって分からない。それなのに臭いはキツクなっている…。
と、急に母がいつも身につけている金のネックレスが「ブチッ」という音とともに不自然に3つに切れ、あわててパーツを拾うと切れた部分には赤い液体が付着していて不思議に思いみていましたがしばらくすると消えてしまい何が付いていたのかは分かりませんでした。赤い液体のような物は目の錯覚だったのかもしれない…と自分に言い聞かせようとしたその時、視線の端の方で異様な風景が。
視線をそらせる事も直視する事も出来ない。引越してきてからその場所に当たり前のようにあり、特別普段の生活の中で移動させる事の無い祖父の写真。いつもの位置にちゃんとあるものの、あるものが写真の中から消えていたのです。
それは、黒目がなくなっていました。つまり、白眼の祖父の遺影だったのです。薄気味悪くなった両親は霊媒師を呼ぶ事にしたのですが、来てもらえるまでの間に今度は音が聞こえてくるようになりました。
電話の受話器がひとりでに「ゴトゴト・ゴトゴト・プー」ゴトゴトーカタカタは夜中ずっとしている様になり、人が「バタバタ」と走る音も聞こえてきました。走っている音は子供の様で縦横無尽に走っていて、音が隣をすりぬけていくみたい。けれども恐怖感が全くないのです。バタバタと忙しそうにしていた音が止まったかと思うと、音がやんだ所からすーっと子供の足が見えてきました。ひざから下だけでそれ以上は見えませんでしたが、男の子でした。
霊媒師の方が来られましたが、最初は家の中に入るのをすごく躊躇され、儀式をしてから中に入って来られました。なんと地縛霊が異様な力があり、自分達の世界に引きずり込もうとしていて、その際、生臭い匂いがたちこめていたそうです。それをくい止めていたのが先祖霊であり、特に私を守ってくれていたのが、この世に生まれてくる事の出来なかった兄だったそうです。
結局、この家は手放す事になったのです。この家を駅前の花屋さんが買われましたが、経営に失敗しご主人は自殺されたそうです。その後の事は…分かりません。