私の身内から聞いた話です。
この人は、一航海何千万もするような豪華客船でボーイのバイトをしていました。ここまで豪華な客船だと、乗船する人は金持ちでしかも高齢者がかなり多いらしいのです。そうなると航海中に亡くなられる人もかなりいるようです。
バイトのボーイは泊まれる部屋がないので、亡くなられた人の部屋を使わせてもらっているようです。その人が一日の仕事を終え、部屋で寝ていると急に金縛りにあいました。そして、誰かに見られているような視線を感じたと聞きました。
意を決して目を開けてみると、そこには紫色のドレスを着た若い女性がその人のことを見下ろしていたそうです。その女性はその人の腕を掴みこう囁いたそうです。 「こっちにきたいんでしょ…」その人は「行きたくない」ととっさに言ったそうです。
すると掴んだ腕を激しく揺さぶりながら「こっちにきたいんでしょ、きたいんでしょ!」と繰り返し聞いてきたそうです。その人も必死に「行きたくない!行きたくない!」と繰り返したそうです。
何回か問答を続けるとその女性はその人の目の前まで顔を近ずけ、「本当はきたいんでしょう?」と静かに囁き、その人は「絶対行かない!」と答えたそうです。そうするとその女性は透き通るように消えてしまったらしいのです。
あとで船員に聞くと、その部屋は老婆が亡くなられたそうなのですが、なぜ若い女性が立っていたかは分からないそうです。今はボーイのバイトもやめて、幽霊を見たのはそれきりらしいです。「あの時行きたいって言ってたらどうなってただろう」と呟いています。みなさんも豪華客船にはお気をつけて…。