私が免許取り立てのころ、仕事が休みの日は車であちこちを走り回っていました。実家が熱海で、父の車をかりてその周辺を、それこそ朝から晩まで。車を運転すること自体がおもしろかったからです。
伊豆スカイラインが夜になるとただになる、ということを知った私は、詳細は忘れてしまいましたが、真夜中、伊豆スカイラインを走ってみたくなりました。熱海方面から伊東に向けて走ってみましたが、亀石につかないくらいで眠たくなり、そろそろ帰ろう、と適当なところでUターンしました。
夜のスカイラインは外灯などありません。対向車もありません。山並みは真っ黒、空は灰色にみえました。もう家に帰って寝よう、と思って家路についたはずなのに、なぜか、車から降りてみたくなった。なんとなく。車を道路の脇にも寄せず、そのまま、車道でとまり、車をおりてみました。
シーンとして、なんの物音、風の音もしません。怖くなって、あわてて車に乗り、また走りだしました。異変はそのあとからです。
ラジオの入りが悪くなり、ガガ、ザザーと鳴り出し、霧がでてきました。私は頭がなんとなくぼーっとなり、キーンと耳鳴りがしました。霧のため視界は悪く、先が見えません。道路端の白線を頼りに車をゆっくり走らせましたが、その白線も古く薄くなり、途切れ途切れで、その先は崖のように思えました。カーブも多く、曲がり損ねたら、もしかしたら、死ぬかも、と必死でした。
どのくらいの時間が経ったかはわかりませんが、玄岳に近づいたとき、霧がはれ、ラジオももどり、耳鳴りもおさまりました。助かった。ほっとし、熱海新道から錦ヶ浦におり、実家に帰ることができました。時間は午前3時でした。玄岳より先は普段から霧の多くでるところのようではありますが、霧のせいでラジオがおかしくなったのか?あのあと、大分経ってから同じ道を走りましたが、道路脇の白線は濃く、しっかりと書かれていました。
もちろん定期的に道路のメンテナンスはしてるのだとは思いますが、あのときのことはなんだったのだろうかと、釈然としませんでした。最近ネットで伊豆スカイラインが心霊スポットだということを知りました。とするとあのときのアレは、やっぱり。なんで車から降りてみようなんて思ったのか自分でもわからなかったけど、呼ばれて、乗せて差し上げちゃったのかなー、と思いました。
あの時、今思えば、後部座席がなんとなく気になったのですが、白線から目が離せず、バックミラーは見ることができませんでした。